Stories and Studies in Sound.

Speaker Workshop unofficial Japanese tutorial Speaker Workshop非公式チュートリアル非公式邦訳版
 狂った定規は定規ではない!
正しい音響測定のキモ、僭越ながら私が伝授します。電気インピーダンス特性、音圧レベル特性、実測データをもとにしたクロスオーバーネットワークの設計まで一気に紹介!

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必要経費は1万円ぽっきり。

1万円さえあれば、スピーカーの音圧レベル特性、電気インピーダンス特性、インパルスレスポンス、その他諸々を精度良く測定する環境が整います。これらが測定できれば、自作派にとっての難関、クロスオーバーネットワークを、良質なかたちで簡単に設計することができます。

日頃から感じていたことですが、日本の自作スピーカー愛好家のあいだでフルレンジドライバがこうも大流行りなのは、マルチウェイ構成に必須なネットワーク設計が難しく感じられるせいではないでしょうか。

バタワースなんとかとかベッセルなんとかとかフィルタの種類が多くて混乱しますし、また、ドライバのインピーダンスが周波数特性を持っているために、ネット各所で公開されているフィルタ定数の公式は使いものになりません。聴感を頼りにトライアル・アンド・エラーで定数を変更していく作業に比べれば、重厚なエンクロージャーにフルレンジドライバを納めるほうが遥かに簡単で、自作派の醍醐味ってものを感じやすいのだろうと思います。

それも向きの一つではありますが、こなせる仕事の種類が多くなるってのは素晴らしいことですよ。やったことのある作業の数や種類が多ければ多いほど、私たちの手の中には確実に何かが残ります。それは経験だったり知恵だったりして、私たちの判断の助けとなります。

私たちが各人「良い音」と思っているものは、ある特定のドライバによってしか出しえないものなのでしょうか。フルレンジドライバの中域の素直さが、マルチウェイ構成によっても実現できるとしたらどうでしょう。

私はフルレンジドライバの一発使いを好みません。理由はたった一つで、それは「レンジが狭いから」です。私は歪みのない超高域が聴きたいですし、重くて軽い超低域が好きです。これらはマルチウェイ構成によって実現するほかないのですが、かといって、ネットワークの不備によって中域の明瞭さがスポイルされてしまうのは許せません。

ならその不備を潰してしまえという話です。ネットワークの設計が教科書どおりにいかないのなら、ケースバイケース、現物合わせで適切に設計できるような技術を体得すればよいのです。ここ数ヶ月、私はぐだぐだと実験しているうち、Speaker Workshopというフリーウェアがその技術を簡単に万人に与えてくれることを見出しました。

私がここに公開するチュートリアルには、達人の技も天才の偉業も含まれていません(ソフト製作者および英文チュートリアル編纂者の偉業は別として)。測って、データを見て、まず机上で仮想実験してみて、実際に組むという、誰にでもやれそうな非常に泥臭くて地道な作業の連続です。

この作業の果てには経験値アップが待っています。
フルレンジかマルチか。その判断を下すのは良質なマルチを1個作ってからでも遅くはありませんって。


handmade mic preamp 1. 機材の準備
 先行投資は1万円、マイクとケーブルとマイクプリのみ!
自作マイクプリの回路図、パソコンのサウンドインターフェース、使用する測定ソフトSpeaker Workshopの設定について説明します。

nearfield measurement 2. ニアフィールドでの音圧レベル特性の測定
 Speaker Workshopに出来てMyspeakerでは出来ないこと、それは位相情報込みで音圧レベル特性を測定出来るという点と、データ同士の密な連携が出来るという点です。これらは、測定の正確さの向上と、データの解釈し易さの向上に繋がります。この項ではそれらについて順に追っていきましょう。

quasi-anechotic room measurement 3. 擬似無響室測定(執筆予定)
 「所詮アマチュアの測定なんだから、部屋の反射の影響が無視できないだろ? そんな測定にどれほどの意味があるんだね?」...とんでもない! 先人たちの弛まぬ努力によって、私たちは擬似的に無響室を作り上げることが可能になったのです。この技術の恩恵および問題点について概説いたしましょう。

measurement of drivers' impedance 4. 電気インピーダンス特性の測定(執筆予定)
 スピーカービルダーにとって最大の鬼門、「T/Sパラメータ」。その値の意味するところを理解する前に、手元にあるドライバのT/Sパラメータを正確に測り直してみましょう。...え、その8cmフルレンジ、Fsが70Hzなんですか? ...ほんとですかね? じゃあ測ってみましょうよ、電気インピーダンス。

5. クロスオーバーネットワークの設計
 お待たせいたしました。これまでに録り溜めたデータを総動員して、最良なクロスオーバーネットワークを設計します。これは神の御業でも達人の仕事でもありません。私たち凡人の誰もがアクセス可能な、ごく普通の技術です。

補遺.A
スピーカーの音響測定時のレベル合わせやダイナミックレンジについて。

補遺.B
「サインスイープ信号のピークホールド」は信用できない手法です。

補遺.C
「3. 擬似無響室測定」の前にARTAの簡易マニュアルを公開します。


謝辞とか

Speaker Workshopを開発し無償で提供してくださっているAudua社のMark Zachmann氏、英文版非公式チュートリアルを編纂したJay M. Butterman氏、および同チュートリアルに寄稿したNelson Wood氏、Claudio Negro氏にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

   ▼ Audua社のウェブサイト
   ▼ Speaker Workshop Manual Volume 2(@audioDIYcentral)

この「Speaker Workshop非公式チュートリアル非公式邦訳版」の文責は、私オヤにあります。文中に技術的な誤りや表現の曖昧さなどがあったら、ぜひ連絡をください。犬コロのように飛び跳ねて喜びたいと思います。

メールはこちらまでどうぞ。
   transgenic_arabidopsis@yahoo.co.jp



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