Stories and Studies in Sound.


ARTA required and sufficient tutorial


ARTA必要十分マニアル


ARTAはインスコできていますでしょうか(性急な前書き
まだの方はこちらからどうぞ。

http://www.fesb.hr/~mateljan/arta/

さっそく逝きます。




@ 立ち上げる


このような画面となるはずです。ECM8000のお使いの方のためにキャリブレーションファイルを用意してございますので、どうぞお使いください。

ecm8000.lzhのダウンロード

展開するとecm8000.micなるファイルが得られます。これをARTAにインポートしましょう。

のアイコンを押してください。


このような画面がでてくるはずです。





Loadボタンを押してファイルecm8000.micを選択し、画面中ほどのUse frequency response compensationを押すと、上のような状態になります。これでマイク感度の校正は完了です。

― 07/04/06 追記 ―
公開当初に紹介していたマイク感度校正ファイルは内容に誤りがありました。現在は正しいものに差し替えてありますので、以前のものをダウンロードした方は、お手数ですが新たに入手しなおしてください。

ANさんのご指摘に感謝いたします。


次いでを押します。


わりとていねいに設定しているとこんな風になるのですが、全部省略します。一番上に示されているSound Cardの項目について、お使いのサウンドカードを指定してください。あとはマイクプリアンプおよびパワーアンプのゲインを10くらいに設定しておけばよいです。


パソコンとマイクおよび駆動用パワーアンプを接続します。当座の目的においては、Speaker Workshopと異なり入出力の片チャンネルをループにする必要はありません。サウンドカードの出力をパワーアンプに、サウンドカードの入力にはマイクプリアンプを繋いでください。この段階では、どちらのチャンネルでもかまいません。


A インパルスレスポンスを得る


ほいどんどん逝くぜ。を押してください。





MLSタブを開くとこういう画面になります。うちとこではサンプリングレート48kHz、サンプルサイズ32kがデフォです。どうぞご自由に。サンプリングレートについて、Creative Audigy Valueではなぜか44.1kHzは対応していませんでした。

パワーアンプとマイクプリアンプの電源を入れ、サウンドカードの入出力レベルを適当なところに設定した後、とりあえずGenerate MLSを押して試験的に測定用信号を出力してみます。





これはレベルメーターで、パソコンへの入力レベルを示しています。このときやるべきことは3つ

1. パワーアンプの出力端子間の電圧を交流レンジで測り、希望するワッテージになるまでアンプのボリュームを上げる
2. 過大入力直前になるようサウンドカードの入力レベルを調節する
3. マイクが繋がっているチャンネルを指定する


定格8オームのスピーカーをお使いの方なら、0.9Vで0.1ワット相当、2.8Vで1.0ワット相当です。
上記2.については各自の柔軟な対応に期待する。
レベルメーターがバコバコ上がってるチャンネルがマイクと繋がっているチャンネルです。このチャンネルを、上図Aのように指定します。


よし、じゃあ、いこうか。Recordボタンを押せばインパルスレスポンスの測定です。
あっけなく終わると思うので、OKボタンを押して最初のメニュー画面に戻りましょう。下図のような画面が見れると思います。




B 周波数特性を得る

画面右側のOffset、Gain、Zoom、Scrollなどを活用して各自見やすい状態にして下さい。次いで画面上で左クリックすると黄色線のカーソルが、右クリックすると赤線のマーカーが設定できます。ちょうど下図のような具合に。これはゲート時間を設定していることになります。





サンプリングレート48kHz、サンプルサイズ32kのときは128ブロック(2.667msec)以上を指定しなければなりません。上図では、反射波対策してない上にマイク位置が床から離れてないのでフロアバウンスまで含めることになってしまってますね。


を押せば擬似無響室測定による観察結果を得たことになります。簡単でしょ?





上図ではすでに1/12octのスムージングを施した後になっています。グラフ下部に、400Hzあたりまで伸びる黄色線が表示されているのが見えますか。これは「この領域は絶対に信頼できないぜ」というサインです。より大きなブロック数を指定すればこの信頼限界を引き下げることができ、結果、低域側まで観察できることになるのですが、わりとライブな居室内の場合、反射波の影響まで含めた周波数特性を得ることになります。


インパルスレスポンスとにらめっこしながら適宜設定されるのがよろしいでしょう。
ただ、それなりに反射波防止対策を施しても、どうしてもその影響が含まれてしまいます。周波数特性のグラフがやけに波打っているときはそのサインです(上図でも見られている)。諦めるか、さもなくばさらなる対策を施してください。

同様の操作をドライバ近接でおこなったとき、居室内の反射波の影響はかなり少ないですから、長大なゲート時間を設定できます。これはウーファーなどを観察する用途に向きます。一様にスケールダウンしたあとバッフル回折の影響をのちほど加味しなければならないですが。


メニューを色々弄ってください。位相を表示させたりできます。この位相特性について、最小位相特性との差分でもって表示させることも可能です。群遅延特性も見れます。それぞれの表示をプリントスクリーンしてローカルに保存しておけば、ブログやホームページに結果を掲載することができます。


インパルスレスポンスからその他の情報(ステップレスポンス、群遅延、累積スペクトラムなど)を得た例として、拙作MTM TLsをあげておきます。


もうちょっとだけ踏ん張りましょう。この観察結果をSpeaker Workshopにインポートすれば、クロスオーバーネットワークのシミュレーションができます。


位相も表示されている状態で、メニューからExport ASCIIを選択します。

―07/08/10 追記―

位相の表示について、メニューからView | Minimum Phaseを選択しておくと、Speaker Workshopへのインポートによってデータが崩れることを防ぐことができます。Jamesさんご指摘ありがとうございました。

―追記ここまで―




保存先を適当に指定すると「ファイル名.frd」のかたちで保存されます。


これをSpeaker Workshopで読み込む。
メニューからImportを選択して保存された.frdファイルを指定します。





お疲れさまでした。

あとはインピーダンス特性を測ってDriverファイルに関連付ければ、Networkファイル上でクロスオーバーネットワークのシミュレーションを愉しむことができます。


ちょうどこんな具合に

最初からSWで擬似無響室測定をやればいいんですが、ハンパないくらい面倒なので、こういう手法を推薦させていただきます。クロスオーバーネットワークのシミュレーションには近接で観察した結果は使えないのですよ。



このやり方ならシェアフィー払わずにARTAを使い倒せますが、気に入ったら素直にマニー払うのがいいと思います。


優れた知財の提供者は儲かって然るべきです。





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